EmDashでつくるWebサイト制作の、解説と検証ノート記事一覧

メディア運用に要る機能は揃うか:WordPress の定番プラグイン 13 種を EmDash で確かめた記録

Yoast や Contact Form 7 にあたるものは EmDash にあるのか。オウンドメディアでよく使う WordPress のプラグイン 13 種を、標準で備わるもの、追加機能で補うもの、テンプレートで作るもの、まだないものに分け、EmDash 1.2.0 で実際に動かして確かめました。

この記事の目次

WordPress でオウンドメディアを運用していると、Yoast SEO、Contact Form 7、Redirection、目次のプラグインなど、手放せない追加機能がいくつもあります。EmDash を比べるときに最初に浮かぶのは「あれに当たるものはあるのか」という疑問です。

先に答えを書きます。メディアでよく使う 13 種のうち、8 種は EmDash に標準で備わっていました。お問い合わせフォームは追加機能(WordPress のプラグインにあたるもの)で補い、目次と関連記事はホームページのテンプレート側で作ります。一方で、一括で戻せるバックアップや、2 文字の日本語での検索のように、まだないものもあります。この記事は、その一つずつを実際に動かして確かめた記録です。

13 種の機能の振り分け。標準で備わる 8 種:SEO の設定欄、XML サイトマップ、OGP・構造化データ、リダイレクト、サイト内検索、予約投稿、コメント、画像の最適化。追加機能で補う 2 種:お問い合わせフォーム、アクセス解析(テンプレートでも可)。テンプレートで作る 2 種:目次、関連記事。まだない 1 種:一括で戻せるバックアップ。
13 種のうち 8 種は標準で揃う。フォームは追加機能、目次と関連記事はテンプレートの仕事になる

確かめた方法と、4 つの区分

  • EmDash 1.2.0(2026年10月15日時点の最新)。公式の blog テンプレートで新しく作ったホームページを、Node.js のローカル環境で動かしました。
  • 日本語の記事を作って公開し、公開ページの HTML、サイトマップ、検索結果、転送の応答を一つずつ確かめました。
  • 追加機能は、公式のプラグインレジストリ(追加機能の配布の仕組み)に公開されている一覧を同じ日に取得しました。お問い合わせフォームの 1 つは実際に入れて、送信が届くまで試しました。

結果は次の 4 つに分けました。

  • 標準で備わる:EmDash を入れた時点で使える。
  • 追加機能で補う:レジストリから入れる。WordPress のプラグインにあたる。
  • テンプレートで作る:ホームページの見た目を決める部分(テンプレート)に組み込む。後から管理画面で入れ替えるものではない。
  • まだない:2026年10月時点で、EmDash にも公開済みの追加機能にも見当たらない。

13 種の一覧:何で用意し、どう動いたか

WordPress での機能(代表例)

EmDash での用意の仕方

確かめた結果

SEO の設定欄(Yoast、AIOSEO)

標準。記事ごとの SEO 欄

タイトル、説明文、検索除外が HTML に反映された

XML サイトマップ

標準

公開記事だけが自動で載り、下書きと検索除外は外れた

OGP・構造化データ

標準

SNS 用の情報と記事の構造化データが自動で出た

目次(Easy Table of Contents)

テンプレート

blog テンプレートには最初から入っていた

関連記事(YARPP)

テンプレート

blog テンプレートの「続きを読む」は新着 3 件だった

お問い合わせ(Contact Form 7)

追加機能

6 種が公開。1 つを入れ、日本語の送信が受信箱に届いた

リダイレクト(Redirection)

標準

URL 変更時の自動転送まで動いた

アクセス解析(Site Kit)

追加機能かテンプレート

公開分はあるが、今回は入れていない

サイト内検索

標準

日本語は設定の変更が要った

予約投稿

標準

予約時刻の約 1 分後に公開された

コメント

標準

投稿は承認待ちに入った

画像の最適化(EWWW、Smush)

標準

画面幅に合わせた WebP が自動で出た

バックアップ(UpdraftPlus)

まだない

管理画面から一括で戻す手段はない

以下、区分ごとに詳しく書きます。

標準で備わるもの:SEO の基本とリダイレクトは、入れた時点で揃っていた

SEO 欄、サイトマップ、OGP、構造化データ

記事の編集画面に SEO 欄があり、検索結果用のタイトル、説明文、SNS 用の画像、正規の URL(canonical)、検索エンジンからの除外を記事ごとに設定できます。Yoast SEO の入力欄にあたる部分です。

日本語の記事に SEO 欄を入れて公開すると、公開ページには次のものが自動で出ました。

  • 検索結果用のタイトルと説明文(SEO 欄に入れた日本語のまま)
  • SNS で共有したときの表示情報(OGP と X 用のカード)
  • 記事であることを検索エンジンに伝える構造化データ(BlogPosting)
  • 正規の URL

サイトマップは /sitemap.xml に自動で用意され、公開した記事はすぐに載りました。下書きの記事と、SEO 欄で「検索エンジンから隠す」を選んだ記事は載りません。隠した記事のページには、検索に載せない指定(noindex)も自動で付きました。WordPress で Yoast やサイトマップのプラグインが担っていた部分は、ここまでで揃います。

ただし、Yoast の「キーフレーズ」や読みやすさの採点のような、文章を診断する機能は標準にありません。これは追加機能の側にあります(後述)。また、パンくずリストの構造化データは EmDash 本体では出力されず、テンプレートか追加機能で用意します。

リダイレクトと、見つからなかった URL の記録

Redirection プラグインにあたる転送の管理も標準です。確かめた結果は次のとおりです。

  • 1 件ずつの転送:旧 WordPress 形式の /2024/05/old-wp-post/ を新しい記事へ恒久的な転送(301)で送れた。
  • まとめての転送:/blog/[slug] を /posts/[slug] へ、という規則 1 つで、旧ブログの URL をまとめて転送できた。
  • URL を変えたときの自動転送:公開済み記事の URL を変えると、古い URL からの転送が自動で作られた。先に作っていた転送も、新しい URL へ自動で付け替えられた。
  • 404 の記録:存在しない URL へのアクセスが、回数とともに管理画面に記録された。

WordPress からの引っ越しでは、旧 URL の転送が検索順位を守る要になります。それが追加機能なしで揃う分、移行の作業が減ります。

予約公開、コメント、画像の最適化

  • 予約公開:90 秒後に予約した記事が、予約時刻の約 1 分後に公開されました(ローカルのタイマーによる)。ただし本番の Cloudflare では、決まった間隔で処理を動かす設定(Cron Trigger)がないと予約記事が公開されません。ローカルで動いても、本番の設定は別に確かめます。
  • コメント:記事にコメント欄が付き、送信されたコメントは承認待ちに入りました。承認するまで公開ページには出ません。
  • 画像:記事の画像は、画面幅に合わせた複数の大きさの、軽い画像形式(WebP)で自動で配信されました。EWWW や Smush のように、アップロードした画像を圧縮するプラグインを入れる必要はありません。なお、Cloudflare 上では画像の変換が Cloudflare Images の課金対象になり、無料枠は月に 5,000 通りの変換です(公式ドキュメント)。今回の確認は Node.js 環境で、Cloudflare 上の変換は試していません。

サイト内検索は、日本語だと設定の変更が要った

これは今回いちばん注意が要る結果です。サイト内検索は標準で付いていますが、初期設定のままでは、日本語の文の途中にある言葉が見つかりません。

本文に「これは検証用の本文です。問い合わせフォームとサイトマップを確かめます。」と書いた記事で試すと、「問い合わせ」では見つかり、「フォーム」や「サイトマップ」では 0 件でした。初期設定の検索は英語のように空白で語を区切る前提のため、日本語では句読点までの一続きが 1 語として扱われ、その先頭からしか一致しないからです。

検索の方式を、日本語向けの方式(trigram)に切り替えると、「フォーム」「サイトマップ」「オウンドメディア」のように 3 文字以上の言葉は文の途中でも見つかるようになりました。一方で、「運用」「検証」のような 2 文字の言葉は、切り替えた後も見つかりません。これは公式ドキュメントにも「3 文字未満の検索は一致しない」と書かれている仕様です。

もう 1 点、1.2.0 の管理画面には、この方式を切り替える項目が見当たりませんでした。今回は API(プログラムから操作する窓口)で切り替えています。日本語のメディアでは、制作の段階でこの設定を済ませておく必要があります。

追加機能で補うもの:フォームは選べるが、数はまだ少ない

お問い合わせフォームを、実際に入れて試した

2026年10月15日時点で、レジストリにはお問い合わせフォームの追加機能が 6 種公開されていました。そのうち版が最も進んでいた「Contact Forms」(1.1.2)を、実際に入れて試しました。

フォームの追加機能を入れて受信するまでの 4 段階:改ざんと権限を確認、承認して導入、フォームと項目を作る、送信が受信箱に入る
受信までは追加機能が担う。通知メールの送り手と、ページ上の入力欄は別に用意する
  1. 入れる前に、求める権限が表示されました。 このフォームが求めたのは「メールを送る」と「Cloudflare のスパム判定(Turnstile)への通信」の 2 つだけでした。記事やユーザーの情報に触る権限は求めていません。中身が改ざんされていないかも、入れる前に確かめられます。
  2. 承認すると、隔離された環境の中で動き始めました。 追加機能がサイト本体と切り離されて動く仕組みは、追加機能の隔離を解説した記事で詳しく書いています。
  3. 管理画面に専用のページが加わり、フォームと入力項目を作れました。 「お名前」「メールアドレス」「ご相談内容」の 3 項目を日本語で作りました。
  4. 送信すると、日本語の内容がそのまま受信箱に保存されました。 スパム対策として、ロボットだけが入力する隠し欄と、速すぎる送信の判定が最初から入っています。

ただし、WordPress のように「ショートコード(角括弧で機能を呼び出す短い記号)を貼ればページにフォームが出る」ところまでは届きませんでした。

  • 通知メールには、メールを送る仕組みの設定が別に要ります。 設定がないと、受信箱には保存されますが、メールは届きません。Cloudflare のメール送信や、既存のメールサーバーから送る(SMTP)追加機能を合わせて入れます。
  • ページ上の入力欄は、テンプレート側で用意します。 この追加機能の案内には「ページにフォームの部品を置く」とありますが、blog テンプレートの編集画面にはその部品が現れませんでした。今回は入力欄を作らず、送信を直接行って受信箱に入ることを確かめています。

SEO 診断やアクセス解析も、公開分はある

レジストリには、Yoast の代わりをうたう SEO の追加機能(構造化データ、検索結果のプレビュー、キーフレーズの診断など)、公開前に説明文や画像の代替テキストの抜けを止める点検、Cloudflare Web Analytics や Umami の数字を管理画面に出す解析、コメントのスパム対策などが公開されています。これらは一覧と説明を確かめただけで、今回は入れていません。

Google アナリティクスのタグを入れるだけなら、テンプレートに直接書くのがいちばん簡単です。

追加機能を使うには、有料プランが前提になる

レジストリの追加機能は、隔離された環境で動きます。Cloudflare 上でこの仕組みを使うには、Cloudflare の有料プラン(Workers Paid)が必要です。最低料金は月 5 ドルで、隔離環境の利用は月 1,000 個の環境と 1,000 万リクエストまで料金に含まれます(Cloudflare の料金ページ、2026年10月時点)。それを超えた分は従量で加算されます。

テンプレートで作るもの:目次と関連記事は「見た目の一部」

目次と関連記事は、WordPress ではプラグインで足すものですが、EmDash ではテンプレート(ホームページの見た目を決める部分)の仕事です。

  • 目次:blog テンプレートには、記事の見出しから目次を作る仕組みが最初から入っていました。見出しを付けて公開するだけで、記事の横に目次が出ます。
  • 関連記事:blog テンプレートの記事の下にある「続きを読む」は、同じタグやカテゴリの記事ではなく、新しい順の 3 件でした。「同じカテゴリの記事を並べる」ような関連記事にしたい場合は、テンプレートを作り替えます。関連記事の候補を返す追加機能も公開されていますが、表示はやはりテンプレート側で組みます。
  • パンくずリスト:画面に出すパンくずと、その構造化データは、テンプレートか追加機能で用意します。

テンプレートで作る機能は、管理画面の操作で入れたり外したりできません。変えるには、ホームページの作り手がテンプレートを直して公開し直します。その代わり、追加機能の更新や、追加機能どうしの相性を気にする必要がありません。

正直に書くと、数の差と、作る費用は残る

数の差は約 900 倍

2026年10月15日に取得したレジストリの一覧は 81 件でした。その中には動作確認用の試験的なものも 1 件含まれます。WordPress.org の公式ディレクトリは、同じ日の時点で 71,693 件です。数の差は約 900 倍です。

公開されている追加機能の多くは 0.1 系の版です。WordPress の大手プラグインのように、何年も使われてきた実績はまだありません。入れる前に中身と権限を確かめられる仕組みはありますが、長く保守されるかは、追加機能ごとに見極めが要ります。

まだないもの

  • 一括で戻せるバックアップ:UpdraftPlus のように、管理画面から丸ごと戻す手段はありません。管理画面の「バックアップ」は中身を確かめるための書き出しで、公式ドキュメントにも「この形式からは復元できない」とあります。本番の Cloudflare では、データベースの巻き戻し(Time Travel:無料プランで 7 日、有料プランで 30 日)と、画像の保管場所のコピーを組み合わせて備えます。これは保守する側が設計し、手順を確かめておく仕事です。
  • 2 文字の日本語での検索:前述のとおり、日本語向けの方式でも 3 文字未満では見つかりません。
  • 既存画像の一括圧縮:配信時の最適化は標準ですが、保管している元画像を圧縮し直す機能はありません。公開されている追加機能も、今は「大きい画像を探すだけ」と説明されています。

作る機能には、制作の費用がかかる

テンプレートで作る機能は、プラグインを入れるのと違い、制作の作業として費用がかかります。目次は blog テンプレートに入っていましたが、関連記事の出し方を変える、フォームの入力欄をデザインに合わせて作る、といった作業は、ホームページごとに見積もる部分です。金額は作り込みの程度で大きく変わるため、この記事では示しません。

逆に言えば、WordPress で多くのプラグインを入れて保っていたメディアなら、その多くが標準とテンプレートに置き換わり、プラグインの更新や相性の確認が減ります。どちらが得かは、今使っているプラグインの数と、その中に替えのきかないものがあるかで決まります。

移行前に、今のプラグインを 4 つに振り分けておく

今回の結果から、WordPress で使っているプラグインを、次の順に確かめることを勧めます。

  1. 管理画面のプラグイン一覧を書き出し、この記事の表で「標準」に当たるものに印を付ける。SEO の入力欄、サイトマップ、リダイレクトは、多くの場合ここに入ります。
  2. 目次、関連記事、パンくずのように「見た目の一部」になっているものは、新しいテンプレートで作る前提で、作り手に伝える。
  3. お問い合わせフォームのように追加機能で補うものは、通知メールの送り先と、フォームを置くページを決めておく。
  4. 会員機能や予約システムのように、業務がそのプラグインに依存しているものがあれば、EmDash で代わりが見つかるかを先に確かめる。見つからなければ、まだ WordPress のままでよい理由になります。

振り分けに迷うプラグインがあれば、一覧を手元に用意して EmDashでつくるWebサイト制作からご相談ください。

参考(一次情報)

WRITTEN BY

EmDash制作チーム

Noweverの「EmDashでつくるWebサイト制作」の制作チームです。Cloudflareの基盤で動くCMS「EmDash」によるサイト設計、更新機能、セキュリティ、WordPressからの移行について、制作の現場で確認したことを記録しています。

EmDash制作チームについて →
← すべての記事を見る